こないだウェス・アンダーソンの「犬ヶ島」を観た。
ヶという字をどう打っていいかわからなかったので、鬼ヶ島と入力して鬼を犬にかえた。
ヶという字がなんと読むかわからなかったので調べてみた。
なるほど。
いきなり余談だが、「犬ヶ島」はもちろん日本語のタイトルで、原題は”Isle of Dogs”だ。
“Island of Dogs” じゃないの?と思ったので Isle と Island のニュアンスの違いを調べてみた。
なるほど。
Island のほうがでかいということだった。Isle は小さいIslandとのこと。
でも「犬ヶ島」って結構広い感じしたけどな…
と思ったら、互換可能との意見や、Isle は Island より古い言葉だとの意見もあった。
古い言葉ってことなら、なんとなく映画の雰囲気には合うよね。
ウェス・アンダーソンはアメリカの田舎、ヒューストン出身の映画監督だ。
俺が最初に観たのは「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」で
最初見たときは、なんかガチャガチャしている印象で、あんまり面白さがわからず、記憶に残っていなかった。
なんか見たことあるおっさんとおばはんが出ているなと思った程度だった。
(ジーン・ハックマンとアンジェリカ・ヒューストン)
でもその後、「ライフ・アクアティック」を観て震えた。
主人公のビル・マーレイが、DEVOのマーク・マザーズボーによるスコスコテクノの曲(いい曲)がかかってみんなと一緒に逃げている?ところで転んで言ったセリフが胸に突き刺さったんだ。
誰だこのセリフを言わせた監督は!!と思った。
なんて言ったかは残念ながら忘れたので、また観たら書こうと思う。
ああ、そういやズィスー達がかぶっていたあの赤い帽子はDEVOの例の赤いプラスチックの帽子のオマージュなのかと今気付いた。
※実はそうではなくて、ジャック=イヴ・クストーって海洋学者でドキュメンタリー映画を作ってた人がいて、その人のファッションなんやってさ。※
で、それから「天才マックスの世界」を観て、ウェス・アンダーソンにはまった。
ライフ・アクアティックの強烈な一撃で、半ば俺の中でアイドル化していたウェス・アンダーソンだったのだが、
次の「ダージリン急行」その次の「ファンタスティック Mr.FOX」その次の「ムーンライズ・キングダム」その次の「グランド・ブダペスト・ホテル」と、なんともモヤモヤするスッキリとしない雰囲気映画が続いた。
しかし、新作が公開されると、俺はファンだから律儀に全部映画館で観たんだ。
でも「ライフ・アクアティック」のような感動は得られ無かった。
そして毎回がっかりして家路についた。
「ウェスはこんなもんじゃねえよな」
そして今回の「犬ヶ島」。
エンドロールを観ながら俺はこう思ったんだ。
これ4~5人で作ってるんならギリギリイケてるよな…
上にも書いたのだが、そういえば「ライフ・アクアティック」のときも、みんなが揃いの赤い帽子をかぶっているのが気になっていた。
なんというかくすぐったい表現というのか、むず痒い表現というのかが、なんとなく気持ち悪いなと思っていた。
学生時代、優等生的なことをわざとあざとくやってる奴が、そのあざとさを見破られること無くただその優等生ぶりを大人に褒められる、みたいな。俺が卑屈なのか。
そんでやはり「犬ヶ島」にもそれは受け継がれていて、やはりなにかモヤモヤした気持ち悪さがずっとあった。
そういうあざとい優等生的なものが好きな人ももちろんいるとは思うが、それはそういう態度を見破っている、外側の視点があってこそ成り立つものだと思う。
「犬ヶ島」にはその視点がないと感じた。
俺は赤ちゃん犬がただかわいいとか、犬のストップモーションの演技がどうだとか、爆発のワタとか、そんなこと求めてないんだ。
こんな作品になってしまって、関わったアニメーターもモヤモヤしてるのではと思う。
監督の顔演技をタブレットで見せられながら、超一流の技術で一生懸命やった結果がこれだよ。
なんか徒労だよ。才能の無駄遣いだよ。絶対もっと良い作品作れたはずだよ…
と虚しく思った。
あと「七人の侍」を引用したのが一番ゲンナリした。
だれかあそこで喜ぶのか?
「七人の侍」のテーマ曲ってこんな軽い使い方する曲なのか?
もっともっと色々あるけどもうやめよう。
ウェス・アンダーソン!!!!
俺こんなこと書いてるけど、毎回新作楽しみにしてんだよ。
また新しいの作ったら映画館観に行くね。
という感想でした。