ニュースでよく聞くわかったようで全然わかってなかった政治の基本的な用語を小・中学生にもわかるように書かれていてわかりやすかった本の紹介です。
政治にあまり興味がない大人が読んでも面白いかもしれません。日常から政治を考えるきっかけにもなりそうです。
用語
プラトンの「イデア」
簡単にいえば物事の純粋な理念であり、本質のこと。世の中の全てのものにはイデアが存在するが、有限的な存在である人間にはその全体像を理解することは絶対にできないという考え。
デカルトの「我思う故に我あり」
徹底してあらゆることを疑った結果、疑っている自分 自体は疑いきれない事にデカルトは気づいた。
「神なくしても理性(私が思っているという事)によって私の存在が定義できる」という発見が近代を生み出す入り口となった。
右派(原理主義)
ある特定の過去に回帰することで理想の社会に接近するという考え。
右派(保守)
過去に生きた無数の人々によって積み重ねられ、長年の歴史の風雪に耐えて残ってきた経験知や良識、伝統や慣習、そうしたものの中に非常に重要な叡智が存在するのではないか、という考えを重視していること。
過去を引き継ぎながら永遠の微調整を続けていくことが理想の社会に近づく。
左派
合理性を重視し未来に向けて進歩した先に理想の社会があると言う考え。
リスクの個人化(小さい政府)
何か厄災が起きても行政は助けてくれない自己責任型の社会。この方向に進めば進むほど税金は安くなるが行政サービスの質は低くなる。
日本は小さい政府であると言える。
リスクの社会化(大きい政府)
人々がリスクに対して不安なく対応できるように政府が支出をしっかりとする。セーフティネット強化型の社会でこの方向に進むと相対的に税金は高くなる。
リベラル(自由主義、寛容)
もともとは
自分とは違う考えの人や宗教に対して、戦うよりも違いを認めて相手の立場や考えに寛容になる方が大事ではないか、という立場をとること。
現在の日本では
他者の考えや宗教に対して寛容になる代わりに自分の考えや宗教に対しても寛容になってほしい、お互いの価値観に対して干渉せずに自由を認め合おうという考え方。
パターナル(父権的)
強い力を持った人間が相手の思想や価値観に介入していくという考え方。リベラルの対立軸。
官製ワーキングプア
国や地方自治体などの行政機関において、非正規雇用のために低い給与で働いている人のこと。
近年の日本は公務員の人件費に割く予算がぐっと絞られてきた。
ジグムント・バウマンの「クローク型共同体」
瞬間的な熱狂でみんなが結束しているようにみえるが、すぐに冷めて忘れられて終焉し、人々の結束力が薄れてしまうという社会の特徴。
日本だけかと思ったら海外でも同じなんだなと思った。
ガンディーの「スワデーシー」
スワ=自らの デーシー=国あるいは土地
自分たちの土地のものを食べ、自分たちの手でいろんなものを作っていこうという概念。
ガンディーの「スワラージー」
スワ=自ら ラージー=統治する
欲望のまま生きるのではなく、しっかりと自己をコントロールできる人間がおこなう政治こそが真の目的、真の独立であるという考え方。
法とダルマ
法とは実定法としての法律。ダルマとは実定法を超えた宇宙全体の法則のようなものを指す、宗教的な言葉。
2つを比べて、どちらに従うべきなのかとガンディーは人々に訴えかけた。
民主
最終的には多数決で決まること。
立憲
過半数の人が賛成したことでも憲法による制約があれば成立しない。
多数決よりも憲法が優先するということ。
統治行為論
民主的に選ばれた行政機関の判断の方が裁判所の判断よりも上位に立つという考え方。
「自分たちは民意によって選ばれている」ということを盾に これまで長い年月をかけて積み重ねられた経験知、 慣習や伝統を平気で無視する政治家が出てきた。 それによって憲法の安定性が損なわれているのが現代。
まとめ
政治とは、「簡単には分かり合えない多様な他者とともに何とか社会を持続していく方法の模索である」と著者は説いているが自分と考えや行動の違う人に対して寛容になり、どのように共存していくかを一人ひとりが考えることが大事です。
実際、日常生活で身近によく体験することなので政治を意識しなくても政治を行っているんだなと思いました。