人前で緊張したときに頭の中で必ず「どうして緊張してしまうんだ!」や「リラックスしなきゃいけない」などの言葉が浮かぶのですが、これってもろセルフトークだったんだなと。
このセルフトークをコントロールするための本を紹介します。
セルフトークとは
人間の感情や行動を左右する「特別なひとり言」である。
「アイデンティティ」を守るため、感情を乱すセルフトークが生まれてしまう。
「自分はこうあるべきだ」とか「他人からこのように見られたい」という、
「実際にここにいる私」と「アイデンティティ」にギャップが生じたとき、不快感が生じ発生する。
劣等感が強い人にはセルフトークが非常に生まれやすくなる。 思春期はセルフトークが非常に多くなる時期である。 他人に自分の価値観が刺激されたときにも発生する。
本書にでてくる用語
ビリーフ(Belief)
セルフトークを生み出す要素。アイデンティティや価値観、世界観など。
刺激(Stimulus)
ビリーフに影響を与えるあらゆる出来事や環境のこと。
認知行動療法
ものの受け取り方や考え方(認知)に働きかけて、気持ちを楽にする精神療法(心理療法)の一種。
論理療法
アルバート・エリス(Albert Ellis)が1955年に提唱した心理療法で、認知行動療法の最初のものである。
イラショナル・ビリーフ
誤解や先入観によってゆがんだ非合理的心情。
肯定質問・自責の質問
自分自身で状況を変えようとする態度で発せられる質問。
例: 「(この状況を)建設的なものにするために何ができるだろう?」
否定質問・他責の質問
他者や自分以外の責任にして、現状に不満を持つだけで自分は何もできないという態度で発せられる質問。
例: 「なんで(こんな状況)が起こるんだ?」 「もし~しなかったらどうしよう?」
悩む
答えを手にしたいのにその答えが手に入らず、同じところをぐるぐると回っている状態。
考える
答えを探すのではなく、答えに至る問いを自分の中に立てるプロセス。
セルフトークA(Automatic)
自分の意思にかかわらず、自動的に生まれるセルフトーク。
本書ではネガティブなものを指す。
セルフトークB(Bear)
「理性」を呼び起こし、「対応」としての行動を導くセルフトーク。
本書では自分の意志で生み出すセルフトークで、有用な存在。
逆説療法
あることを修正したいと思ったら、それを否定せず、とことん推し進めてみる方法。
例: 浮かんだセルフトーク「緊張するなぁ、どうしよう。。」 対応「よーし、もっと緊張しろ!」、「手はもっと震えろ!」
自分の緊張度合いや、手の震えを外側からみることにより、緊張のレベルが下がる。
ストレスレベルが高いとき
セルフトークAが大量に発生するので座禅、内観、瞑想といった自分の内側と向き合う行為によって、セルフトークAを認識し、減らしていくことができる。
ルーチン
うまくいったときの原因とリンクすると思う動作を事前に必ず行うこと。
NLP(神経言語プログラミング)
カリフォルニア大学の心理学部の生徒であり数学者だったリチャード・バンドラーと言語学の助教授だったジョン・グリンダーが心理学と言語学の観点から新しく体系化した人間心理とコミュニケーションに関する学問。
アンカー
条件反射のしくみを利用したNLPテクニックの1つ。
ゾーン(zone)
集中力が極限に研ぎ澄まされており、思考や感情が意識に上がっておらず、身体が自動的に能力を最大限に発揮して動いているような状態。
フロー(flow)
現在行っていることに全力で対峙し、時間の経過も忘れるほど完全に集中している状態のこと。
印象に残ったところ
日本人の場合、無宗教の人の割合が多く、絶対的な「よりどころ」を持たない人が大半であるため、「自分が持っている価値観・信条体系(つまりビリーフ)=自分自身」であると思っているところがある。
なので、自己啓発本やセミナー、宗教の会合などで自分の価値観が返られそうになったり、人のビリーフが変えられる場面をみたりすると、「自分自身がなくなってしまう」、「自分が何かに操られる」、「自分が全く違うものになってしまう」という強い抵抗感を持ってしまうようだ。
人が変化するときに自分自身や周辺の人が戸惑うのはこういうことなんだなと思った。
日本人にはビリーフを変えるより発生するセルフトークを何とかする方が楽である。
まとめ
発生したセルフトークをビリーフを変えることなく「なくす・変える・使う・減らす」ことでポジティブな方向に行動を変えることができるセルフトーク・マネジメントは、日本人には非常に取り組みやすいものだと思った。